御手洗井 龍神が住むオフィス街の井戸

祇園社御旅所

京都のオフィス街である四条烏丸の近所に井戸があります。それもビルに囲まれたところです。そらまぁ、なんとも京都らしいところなんですけど。

そしてこの井戸、歴史もあって「祇園祭り」に関係する、なんともありがたい井戸なんですよ。その名も「御手洗井」といいます。当然「御手洗」は「おてあらい」ではなく「みたらい」ですよ。だから「みたらいい」なんですね。(「みてらいい」とか「みてあらいい」と発音する人もいます。)

京都で「御手洗」というと、とってもありがたい(有難い)名前です。上賀茂神社や下鴨神社を流れる小川は「御手洗(みたらし)川」ですし、北野天満宮をはじめ市内のいろいろな神社では「御手洗祭」が行われます。そして、皆さんご存知のお団子も「みたらし団子」ですね。

さて、この「御手洗井」は、もともと祇園社(八坂神社)の御旅所社務であった「藤井助正」の屋敷にあったということです。名水として知られており、この井戸の水を邸内の庭前に建てた「牛頭天王社」に奉供していたそうです。

ところが永禄11年(1568年)織田信長が上洛すると、御旅所を現在の四条京極の地に移転してしまいます。そして信長は残った井戸が名水であるということから、その井戸を施錠してしまい、その鍵は町年寄に管理させ、毎年祇園祭の時だけ施錠を解いてご神水を振舞ったそうです。現在でも、祇園祭の7月14日に井戸換えが行われ、7月15日から7月24日までの間、一般の人にも公開されています。

そして明治45年(1912年)3月に「烏丸通り」が拡張されたため、「御手洗井」は旧地より原形のまま東に移動したそうです。以前はもう少し西にあったことになります。

近年では「烏丸通り」に地下鉄が走っているのですが、その工事の時には大丈夫だった「御手洗井」が、平成9年の地下鉄東西線延伸工事の時に枯れてしまうということがありました。これは一大事ということで、地下70mまでボーリングして新しい水脈を掘り当て、現在はポンプで汲み上げているそうです。

また、「御手洗井」の鳥居には、「七五三縄(しめなわ)」が結ばれています。この「七五三縄」は「祇園祭り」の時には竹を2本と松を2本結びつけから張るという風習があります。

そして、一番のミステリーはこの「御手洗井」には「龍」が住んでおり、「御手洗井」と「八坂神社」の本殿の下にある井戸は「龍穴」でつながっているという伝説があるそうです。「御手洗井」の龍神さまは「神幸祭」の神輿に乗って御旅所から「八坂神社」に還幸し、「龍穴」を通って「御手洗井」に戻ってくると言います。

そんな「龍神さま」の住んでいる「御手洗井」に行ってみましょう。

御手洗井 No2

「烏丸通り」を四条から上がっていくと、ビルとビルの隙間に...

御手洗井 No3

違和感を感じる方もおられるでしょうけど、これが京都です。

御手洗井 No4

なんともねぇ...一年のうち300数十日は閉まってます。

御手洗井 No5

七五三縄で穢れが入ってこないように守られています。神聖な場所であるしるしです。

御手洗井 No6

「御手洗井」の駒札です。「御手洗井」があるこの辺りは「手洗水町」と呼ばれています。このように呼ばれるようになったのは、太閤秀吉の時代で、町衆の申し出により当町名となったのだそうです。

御手洗井 No7

神額には「八坂神社」の文字が見えます。

御手洗井 No8

これが「御手洗井」です。龍神さまに手を合わせて「今年も祇園祭が無事敢行されますように。」とお祈りします。

毎年「祇園祭り」の時に寄ろうと思っているのですが、人波にもまれて鉾の写真を撮っては満足してしまい、すぐに忘れてしまってます。いつかは、ご神水の写真を撮らせて頂き、ご神水を味わわせていただきましょう。

アクセス

  • 京都市バス「四条烏丸」下車、徒歩3分

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