古墳マニアも城跡マニアもウハウハ?
さて、今回は山登りの記事です。
けっこう無名であまり人が行かないコースなので、もしも訪れるときにはスマホの地図アプリを必ずもって行ってください。また、危険を感じたらすぐに戻って深入りしないでおきましょう。
事故に遭われても遭難されても、私は一切責任がとれません。御承知おきください。
のっけからこんなことを書くのもなんですが、もしもこの記事を読んだ方が不幸になるということが起これば胸が痛みます。山になれている人にとってはたいしたことの無いコースなのかもしれませんが、初心者の私にとっては、ぎりぎり精一杯のコースでした。道に迷いやすいし、当日まだ足元が乾いていたので難を逃れたのですが、下りにおいては数十メートル滑落して大けがをしてもおかしくないような崖に近い斜面を下っています。
もし、事故になったら...ご本人の怪我もさることながら、救助や捜索といったことになると、いろいろな方に多大な迷惑がかかってしまいます。
十分な装備と体力、天候やルートを読む力、何が危険であるかという経験則を身に備えてからでも遅くはありません。山は逃げませんし、史跡もこのまま残っていることでしょう。冷静に判断してくださいね。
霊仙ヶ岳
「霊仙ヶ岳」は亀岡市の曽我部町にある山です。
山自体はそんなに高くなく(536.2m)、集落に登山口があるどこにでもありそうな山です。
でも、YAMAPとかヤマレコではあまり登山の記事がありません。山頂のすぐ近くまでゴルフコースがあるのであまり人気がないのでしょうか。山頂で休憩していてもゴルファーの声が良く聞こえてきます。それと、山頂の見晴らしはごく一部に限られていて良くありません。
登山道は国土地理院の地図にも書かれています。法貴の集落から2本の道が山の方に延びていて、山に入ると途中で合流しています。最初、バス停から歩いたので南側の道を探したのですが、お寺の裏側辺りでよくわからなくなって断念。北側の道に行きました。
北側の道は立派な石票の地図(ライオンズクラブ設置)があってわかりやすかったです。
で、登山道はお世辞にも「登りやすい」とは言えません。大雨で登山道を水が流れたようで、岩がゴロゴロしていてとても歩きにくいところが多いです。簡単なハイキングコースといった道ではありません。
で、山頂からは「法貴山」の方に行きました。こちらは標高400mの山で、「霊仙ヶ岳」からほぼ尾根伝いに降りてきたところが山頂になっていて、山頂部分が「法貴山城跡」になっています。
んで、「法貴山城跡」から「明智戻り岩」に行きたかったので「法貴谷川」の方に真っ直ぐ降りたのですが、これが大失敗。急斜面というか、崖に近い勾配がついてます。「霊仙ヶ岳」の登山道の方に戻った方が良いですよ。絶対に。
近くを探れば降りやすいルートがあったのかもしれませんが、一度降りだすと登ろうと思っても一筋縄ではいきません。一度降りだすと、そこから下に降りていくしか手がありません。で、下に降りると、3年前の台風でR423が土砂崩れで埋まってしまったところに出てきます。つまり、一番やばいところを下りていたわけですよ。
我ながら大失敗。「明智戻り岩」につられてえらい目にあいましたよ。何とか無事に下まで降りられましたけど、もう勘弁してください。2度とこんな目にはあいたくないです。
五月晴れ
当日は朝から五月晴れのいい天気。
装備を確かめ、食料や水分を調達して「霊仙ヶ岳」の登山口に向かいました。京阪京都交通バスの「法貴口」が近いでしょう。
私はもっと東の方から歩いてきました。

「霊仙ヶ岳」は道の先のどん突きにある山です。その左手にあるのが「法貴山」です。そしてその横の谷間のようなところに白い建物が見えますが、そこが「法貴峠」と「法貴谷川」です。

拡大するとこんな感じ。「霊仙ヶ岳」⇒「法貴山」⇒「法貴峠」と進んで元の所に帰ってきます。

「霊仙ヶ岳」の中腹より手前の林の中が「法貴古墳群」です。資料で調べると、この辺りの山麓はどこもかしこも古墳の宝庫なんですね。

もうじき田植えの季節がやって来ます。今はまだ、蚊とかの虫も少なく、山に入っても爽快です。でも、7月ごろからは虫よけを体中にドボドボに降りかけないと、とんでもない目にあってしまいます。それと、もうこの季節からマダニにやられることがあるので、長袖長ズボン、裾はきっちりしばってマダニ除けをスプレーして防御してくださいね。
のどかな田舎道を歩いて、「法貴口」のバス停に来ました。そこから少し亀岡寄り(北の方)に戻ったところに「霊仙ヶ岳登山口」の石票があります。

これ。ここからR477をそれて西の方に進みましょう。

道はクランク状に曲がってるんですけど、どん突きが集落です。

稲じゃなくて麦ですよ。
で、どん突きの所に立派な案内図を刻んだ石票があります。おおお、写真撮り忘れましたぁ~~~。
どん突きの2,3軒左の所に道があるので、山側に進みます。

と、ほどなくアスファルトの道が地道になって林に突入します。ここで山の装備に切り替えます。

しばらくは山裾のなだらかな林の中。石垣がいっぱいあります。

多分、昔はとても栄えた場所だったんではないでしょうか。

石垣を横目にどんどん進んでいきます。
法貴古墳群
ぽちぽち歩いて竹林を抜けました。

杉林突入。 でね、よく見ると、もう見えてきてるでしょ。

あっちも、こっちも、地面がモコモコと膨らんでいます。

で、場所によっては石が露出しています。

そう、「法貴古墳群」です。

もうね、古墳マニアでなくともちょっと興奮モノ。

石室の中が見えるものがたくさんあります。

すごいですよ。

あっちもこっちも、穴だらけ。

こんな小さな穴でも...

カメラを突っ込んでのぞくと石室が見えます。

あそこに見える古墳も大きそうです。

近づくとこんなですが...

なかは、ほれ、この通り。

しっかりとした石室が確認できます。

さすがに絵とかは描かれていないようですけども、力を持った豪族がいたんでしょうね。

登山そっちのけで、古墳めぐり。

石室の上部が無くなっているものもあります。

いつごろのものかは調べてないんですけど、素朴でがっしりとした印象です。

予定時間から大幅に遅れてしまいました。ま、今日は昼から予定がないのでゆっくりとして大丈夫です。
この辺りまでなら、ハイキングがてらに訪れて古墳散策するのは特に大きな危険はないと思います。でも、怪我をしないよう十分に気を付けてくださいね。それと、古墳は基本「お墓」なので、埋葬された人のことを思って見学させていただいてください。
霊仙ヶ岳を登る
今回の一番の目的は「霊仙ヶ岳」の登山。
で、付随してくるのが「法貴古墳群」「法貴城跡」「明智戻り岩」「国狭槌神社」。
ちょっと欲張り過ぎかな...ま、Blogネタにはなかなかいいでしょ。

さて、「霊仙ヶ岳」を目指しましょう。一応、ピンクのリボンがところどころ残ってます。

少し傾斜が強くなってきました。

静かな杉林の中を昇って行きます。

こんなところはとても歩きやすいんですけども、多くは岩がごろごろしていてとても歩きにくいです。

地図に載ってる登山道よりも北の方を巻くようにして登って行く尾根コース。こちらの方に行ってみます。
暫く尾根コースを上っていたのですが、岩がごろごろしていてとっても登りにくいです。

尾根コースの左の方(南方向)を見ると小さな沢があります。

あっちの方が「谷」にはなっているんですけど岩が少なくて歩きやすそうです。

で、道をそれて少し左寄りに方向を修正。土の多いところを歩いて行きます。

沢はあまり流量が無く水はきれいです。

たま~に倒木があるんですけど、簡単に越えられていきます。

が、なんと傾斜がとてつもなく急になってきましたよ。45度ぐらいかな。アキレス腱がパンパン。

沢の水は見えなくなりましたが、道のようになっているのでそのまま登って行きます。

今度は土がフカフカ過ぎて、3歩進んでは2歩ずり落ちていくという、とっても体力を消耗する状況になってきました。

少し傾斜がましになったのもつかの間...

うお~~~。45度を超えるような傾斜です。もう、四つん這いに近いですよ。もうすでに「尾根コース」には戻れません。登るしかない...

なんか巨岩が見えてきました。でっかいですよ。

この傾斜の斜面をこの巨岩が転げ落ちたら無敵でしょうね。レイダースの世界みたいになりそうです。
ついに谷の部分を進むのが崖を上るようになってきたので、少し等高線に沿って南の方に移動し、尾根の部分を上ることにしました。

尾根に出る寸前はジャングルですが...

尾根に出ると、獣道ができているのでけっこう歩きやすいです。
尾根道を15分ほど登ったでしょうか。

いきなり、ポンと山頂に出ました。 なんとあっけない出現...途中、とっても苦労して登ってきたのに、「もうすぐ到達するぞ!」という期待感が高ぶる前に...ポン。

ま、ええか。 三角点です。

方角の石碑はとても立派です。

「標高五三六・三米」と刻まれています。

で、山頂からの唯一の展望。亀岡盆地の真ん中の田んぼとか三郎ヶ岳や地蔵山が見えます。天気が良くて最高。
せっかく山頂に来たのですから、パンを食べてちょっと一服。あ~。満足。
よく登山でインスタントラーメンを持ってくる人がいますが、私にはちょっと無理。バーナーとかコッフェルとか、そんな重たいもん持って山に登る体力なんてありません。やっぱ、パンかおにぎりがベストです。帰りのゴミもごく小さいし。
ま、そんなこたぁ~どうでもいいや。十分休んだので降りましょう。下山です。
今度は違う道から降りますよ。山頂からゴルフ場のコースの横を下って行って、途中で東に向かい「法貴山城跡」を目指します。

ゴルフ場のコースをそれたあたりにある巨岩。

少し広くなったところに巨岩がごろごろとあります。

採石もできそうですし、古墳がたくさんあるのもわかります。
で、ここからは地図に載ってる登山道からは少し離れて、地図アプリを見ながら方向を確認し、人道や獣道を進んで「法貴山城跡」を目指します。でも、それなりに道はついているので、迷って困ることはありませんでした。
法貴山城跡の興味のない人はもう少し大阪よりの「皿谷池」の方に降りるコースもありますのでそちらの方が良いかもしれません。(私は通ったことがないので何とも言えませんが...)
さて、「法貴山城跡」のある「法貴山」の頂上部に向かうと、それらしい道はあちこちに延びているので、目的の「法貴山城跡」ごどの方向なのか見極めて進んでください。
で、方向の見間違わないようにしばらく降りてくると...

どうも人工的な地形と思われるところに出てきました。「法貴山城跡」の一番北西の部分に到達です。

木が生えてしまっていますが、人工的に平地にしたことが良くわかります。

少し進むと堀切が明確に確認できます。

堀切を渡ります。

雑木林になってますね。

でも、城跡だとよくわかるでしょ。

また、堀切を渡ります。

藪にはなってないのでまだ歩けます。

「法貴山城」は「細川晴元」の家臣であった「酒井三河守」の居城と伝わってます。

また大きな堀切を越えていきます。

木は生えていますが、城の構造というか配置は良くわかります。

わずかに亀岡市内が見えますよ。

多分ここが主郭の跡だと思われます。

もう少し進むとくぼみ無ようなところがあります。

ここのくぼみが溜め井戸になっていたと思われます。

土塁を越えて副郭です。切りそろえた丸太があるということで、たまには整備をされているのかな。

でも、あまり人は来ていない様子ですね。

南側斜面、北側斜面共に急な斜面になっています。

また堀切に出ました。越えずに辺りを少し探索してみましょう。

一段下がったところに少し平地があります。見場などがあった場所でしょうか。

マイナーな城にしては主郭、副郭ともにけっこう広い面積があります。

城の建物の痕跡などはわかりませんでしたよ。プロが見たらわかるのかな。

堀切に降りました。

倒木が多いのですが、堀切自体が深いのではっきりとわかります。

しかし木がたくさん生えていますね。夏になると草も多くなるので少し歩きにくくなるかもしれません。
さて、「明智戻り岩」の方に降りていきましょう。けっこうな急坂ですけど...

最初は急坂といっても、それなりの道(獣道?)がついていました。振り返るとこんな感じの斜面です。

で、そのうち道が斜面に対して真っ直ぐから、斜め方向になってきます。もう、まっすぐにはなかなか降りれそうにない急斜面です。

で、そのうち、斜面に対して真っ直ぐな道に戻ってしまい、どう見ても直滑降ですよ。奈落の底に向かってるみたいです。写真ではわかりにくいですが、斜面ではなくて「崖」です、「崖」。ようこんなところに木が生えてるわ、というような崖です。
この時、戻ればよかったです。今となっては...
で、この斜面、滑り出すと止まらず、周りの木とかをつかまないと下まで落ちていきそうな勢いです。で、少し降りだすと、もう登ろうと思っても登れません。崩れて崩れて...
んで、仕方ないので意を決して下ります。
はっきり言って、本人、真剣です。こっから1時間ぐらい、木から木へと渡り歩くようにして下って行きます。
たまに、掴んだ木自体が土砂と一緒に崩れ出して大声あげたことが何回かありました。写真撮ってるなんて、そんな悠長な事考えられません。ほんとにレイダースの世界になってしまいました。
何度も滑落しかけて、這う這うの体で一番下の「法貴谷川」まで下りてきました。
で、目の前に...

降りてきたところの対岸は、3年前の台風で土砂崩れが起きてR423が埋まってしまったところです。まだ工事中で復旧作業は完了していません。(片側交互通行になっています。)

対岸の土砂崩れといえ、自分の降りてきた斜面といえ、たいがいな所でしたので、こんな所に出るなら降りて来るべきではなかったと大反省。
少し川沿いに登って行くと「明智戻り岩」なのですが、ここで紹介するととても長くなるので次回にでも紹介しましょう。

で、「明智戻り岩」から「法貴谷川」にそって下る「法貴谷ハイキングコース」に反って歩きます。
この「法貴谷ハイキングコース」も現在は土砂崩れで危ないところがありますので、亀岡市のホームページでも案内していません。流れによって道が削られて流失しており、川の中を歩かなければいけないところがあります。水の流れが少ない時はいいのですが、水の流れが多い時には通行困難です。また、大雨の後は濁流にのまれてしまうので、誰がどう見ても危険です。
状況判断を誤らないでくださいね。
例えば、

上の画像の右の方に見える、ガレ場の狭い谷間を抜けないといけないので、増水していたら絶対に無理です。
それと、下流に向かうと砂防ダムが何カ所かあって、コースからそれて、大きなダムの上は歩いて真ん中近くまで行けるのですが、雨上がりで足を滑らしてダムから下に落ちるとどう見ても即死なので気をつけてください。砂防ダムですから当然、柵とかありませんし、滑ったら終わりです。
「法貴谷川」沿いにつらつらと下って行きます。で、上からは怖いので、コースからそれて、とある砂防ダムの下まで行きました。

ここは水の流れがきれいです。けっこうな流量がありますね。

で、その砂防ダムの横の方に何やら2本の石柱が。「奉」「納」とあるので、斜面を登ってみましょう。

上の方になんか見えてます。

今日は岩が乾いているので良いのですが、雨上がりならば滑ってしまいそうです。

もう少しです。

大きな岩に祠があります。

なんかすごいですね。

よく見ると中に仏像? 中が暗いのでちょっとカメラで確認。

おお、なんかすごい。もしかして修行場か何かだったところでしょうか。横の砂防ダムが昔は大きな滝であったとか...

ところどころに小さな滝が続きます。こうして見るとのどかな感じなんですけど。上流の土砂崩れがうそのよう。

青もみじ出現。今から6月ごろまでは薄い緑がきれいですね。

倍率が低いので大きくは写せませんけど、青空に映えますね。

「法貴谷ハイキングコース」は谷から出てもまだ続きます。「山王寺」は以前紹介した「犬飼天満宮」の所のお寺です。

やっと「法貴」の集落に出てきました。ここからは「法貴谷川」に沿って歩くと、最初のバス停「法貴口」に出ます。
今回は欲張り過ぎて目がくらみ、大失敗をしてしまいました。あとから思うと、崖で写真を撮っておけば、なかなか迫力のある画像になったのでは、とか思いますけど、その時は生きて帰れる心地もしませんでした。久々に真剣でしたよ。
ま、今回も無事帰って来れたし、大きな怪我もしなかったので良かったと思いましょう。やっぱり私のような初心者はYAMAPとかに載ってるコースが向いてますね。みなさんも怪我などしないよう力量にあった安全な山登りを楽しんでくださいね。
アクセス
- 法貴山登山口・・・京阪京都交通「法貴口」から徒歩10分