悪縁を断ち切る! そして良縁を得る!
ここも、最近はガイドブックに載ることがありますね。でも、せっかくですから紹介しますね。
「安井金比羅宮」は京都市東山区安井にある神社です。京都市バスの「東山安井」のバス停からすぐのところです。
冒頭にも書きましたが、「悪縁を断ち切る!」「良縁を結ぶ!」というのが、この神社のご利益です。当然、「良縁祈願 恋愛成就」につながりますね。やはり、女性の参詣が多いです。
「安井金比羅宮」の縁起をひも解くと、大化の改新で有名な天智天皇の治世に、当時政権を握っていた蘇我氏を滅ぼした藤原鎌足が、この地に藤原家一門の繁栄を祈願した仏堂を建立し、紫の「藤」を植樹して「藤寺」と号したのが「安井金比羅宮」の始まりだそうです。
その後、後白河法皇の詔によって建治年間(1275年~1277年)に「光明院観勝寺」がここに建立されます。しかし、応仁の乱で荒廃し、江戸時代の元禄8年(1695年)に太秦安井(京都市右京区)の「蓮華光院(安井門跡)」が移建されると、「光明院観勝寺」はその管轄に入ります。「光明院観勝寺」はその後廃絶、「蓮華光院」は明治維新後の神仏分離令により廃されて、「安井神社」に改組されます。そして第2次大戦後に「安井金比羅宮」となります。
ややこしいですね。もともとは藤原鎌足のお寺で、いろいろあって、戦後に「安井金比羅宮」となった、ということでしょうかね。
では、行ってみましょう。
東山安井
東山通り(東大路通り)は、平日も休日もけっこう混みます。車ではあまり通りたくない道なんですよ。特に、祇園(四条通り)から七条辺りまでは混み混みで、バスはなかなか時間通りに走りません。でも、他に公共交通機関がないので京都市バスで行きます。
「東山安井」のバス停を降りるとすぐに目に入ります。「東山安井」の交差点が入り口です。
「悪縁を切り良縁を結ぶ祈願所」 まぶしいばかりの文句ですね。早速お詣りしましょう。
紅葉しかけの時期に行きましたので、とてもきれいでしたよ。
参詣道のどん突きに御手洗があります。立派な石ですね。
御手洗の水面に、きれいに紅葉したもみじが浮かんでいます。
で、進む方向を見ると、ど~ん、と目に入るのがこれ!
こんなこと言ったら怒られるかもしれませんが、やっぱりちょっと異様な雰囲気を醸し出しています。夜になったら動き出しそう。いやいや、そんなことはないでしょうけど…
「縁切り縁結び碑」です。「形代」で、本体が見えませんが「石(碑)」なんですよ。すごいですね。
御祈願の方法が書かれています。
1.まず最初に本殿に参拝して下さい。
2.次に「形代(かたしろ:碑の左側の台にあります)」に切りたい縁・結びたい縁などの願い事を書きます。
3.「形代」を持って願い事を念じながら碑の表から裏へ穴をくぐります。これでまず悪縁を立ち切ります。
4.次に裏から表へくぐって良縁を結びます。
5.そして最後に「形代」を碑に貼って下さい。
旧きを脱皮し常に新しい新鮮な自分を蘇らせる縁切り、もろもろの祈願を成就
にみちびく縁結び共に歓迎。
これで、悪縁、腐れ縁などもろもろの諸悪と縁を切り、新しい生まれ変わった自分と良縁が結ばれます。
間違わないように、「表」と…
「うら」が示されています。どうぞお間違いのないように。せっかくのご利益が、さかさまに逃げてしまいますので。
「うら」側から見るとこんなふうになっています。
この「縁切り縁結び碑」は昭和53年(1978年)に設けられ、代々の「形代」は一度も除かれていないそうです。現在の高さは2m程、幅は3m程あり、年々どんどん大きくなっています。20万枚以上の形代が貼られているそうです。
実際に目の前にすると、そらもう、これでもかというほどの「形代」が貼り付けられています。お願い事を、ちらちらと呼んでみましたが…
…女性って怖いですね。
いやぁ、なまなましいですよ。ちょっとここにはアップできないようなものもあります。でも、多くの方が良縁を求めてお詣りをされているようで、皆さんの願いが成就しますように。
本殿
さて、後になってしまいましたが、本殿の方を見てみます。
「縁切り縁結び碑」の右手が本殿です。
拝殿の屋根の金色がとってもまぶしいですよ。
拝殿のお賽銭箱の「金」のマークもキラキラしてます。
本殿です。実は、私が来たのは朝早い時間だったのですが、もうすでにお一人の女性が本殿前で参拝されていました。大きな旅行鞄を引っ張ってこられたようで、他府県からのお詣りだなと察しました。おじゃまをしてはいけないので、本殿の写真は後にして、境内あちこちの写真を撮っていたのですが…そらまあ長いこと拝んでいらっしゃること。一心不乱と言った様子で、よっぽど思い悩むことがあるんだろうなぁと、ちょっと同情してしまいました。「安井金比羅宮」のご利益を聞いて、遠くからやって来られたんでしょうね。どうか、良縁に恵まれますように。
御神体が見えますね。
「縁切り縁結び碑」をくぐる前に、先に本殿にお詣りしてくださいね。自分の要望ばかりを主張するのではなく、まずは真摯にお詣りして、ここに来られたことを神に感謝してから、くぐりましょう。
境内
境内を少し紹介します。
拝殿のわきには「絵馬掛け」があるのですが、やはり、こちらも「良縁祈願」「恋愛成就」のお願いが多いですね。あまり他人のお願い事をのぞいてはいけないのでしょうが、ここの絵馬ほどバラエティーに富んだ絵馬は、他ではなかなかお目にかかれません。
第62代・村上天皇が詠まれた「安井の藤」の歌碑です。
まとゐしてみれとも あかぬ藤なみの たゝまくをしき けふにもあるかな
私の実家にも藤がありました。引っ越した時に祖父が近くの山に行って採ってきた山藤でした。長い間花が咲きませんでしたが、咲き出すとそれはもう見事な紫の花を咲かせてくれました。以来、紫色の花はどんな花でも大好きです。
本殿の反対側には、立派な藤棚があります。藤の季節に訪れてみたいですね。
その後ろに「こんぴら絵馬館」という建物があるのですが、現在は閉館されているようです。「安井金比羅宮」は有名人の絵馬があることでとても有名なのですが、ちょっと残念ですね。
拝殿にあったお賽銭箱の「金」のマークが忘れられません。光り輝いています。「御金神社」といい、ここといい、私は貧乏人ですから、なんかキラキラしたものに惹かれるんですよね。
こちらは末社の「八大力尊社(はちだいりきそんしゃ)」です。
廃絶した「光明院観勝寺」の礎石がのちに発掘されたのですが、それを「八大力尊」として奉納したのが始まりだそうです。
きれいなお社です。
「光明院観勝寺」の基礎の一部として建物を支え続けたことに由来して、基礎を固めて困難や逆境に打ち勝つ力、社会を生き抜く能力を授けてくださるというご神徳があります。
現代人にとっても必要な「社会を生き抜く力」を授かりましょう。
なかなか、可愛い絵馬ですよ。
「安井金比羅宮」のことで、よく聞かれるのは、「カップルで行くと別れることになってしまうのでは?」という不安ですが、
良縁に結ばれたご夫婦やカップルがお参りされても縁が切れることはありません。更にお二人がより深くより強く結ばれる御利益をいただけますのでご安心を。
と、「安井金比羅宮」のホームページにもありますので、ご心配なく。
アクセス
- 京都市バス「東山安井」下車、徒歩2分