突如 森
京都市は町中に、いきなり森が現れることが多々あります。
有名なのは「京都御苑」や「下鴨神社」なんかです。でも、それ以外にも小さな森があちこちに散在しています。
「市五郎大明神」も京都市の真ん中なんですけど、いきなりこんもりとした森が見えてくるんですよ。外から見ると、森というには少し小さいかもしれませんが、中に入ると日中でも薄暗く、雰囲気満点です。
京都市の幹線道路である、西大路通りの一本東側に「西土居通り」と言う通りがあるのですが、「太子道」から「御池」に向かって南下すると、いきなり左手に森が出現します。
駐車場の奥に、うっそうと木々が茂っています。ここが「市五郎大明神」です。
駐車場の横に、入り口があります。
鳥居にある「市五郎大明神」の神額です。「正一位」なんですね。
実は、この森は史跡である「御土居(おどい)」なんです。「御土居」とは関白太閤 豊臣秀吉が京都の防壁と水害対策のために作った土塁です。天正19年(1591年)に作られて、戦乱で荒れていた京都の洛中と洛外を明確に分けました。
伏見のお稲荷さんのような鳥居が連なっています。
昭和5年(1930年)に国の史跡に指定去れています。この石碑は昭和12年に建てられていますね。
境内は古い石碑や社がいっぱいあります。石碑などによれば、「市五郎大明神」は明治23年(1890年)に、岡崎に住んでいた「北村利幾子(きたむらりきこ)」がご神託を受けて、御土居の上に祠を創建し、「市五郎大明神」を祀ったのが始まりだそうです。
「市五郎」とは、御土居に住んでいた「狸」のことだそうで、祠の中には狸が祀られているそうです。
右手の方に通路が続いているのですが…そこには…
狸ならぬ、「な~ん」がいました。「なんやこいつ。朝もはよから、うっとしい。」てな感じで、私をチラ見してのこのこと歩いていきました…
神灯や絵馬が奉納されています。
明治時代のものですが、かすれて見えなくなってきています。
こちらはまだ新しいですね。
こちらは大正時代のものです。
さて、石段の上に社殿があります。
石段の登り口には「市五郎大明神」の石碑が。
水盤に水が張られているのですが、水道栓も見当たりません。
お社です。
御神体の写真はうまく撮れませんでしたよ。狸が祀られています。
お社の横には、御土居の上につながる石段があります。当然登ってみます。
石段の横に古い井戸があります。釣瓶(つるべ)のロープはないようなので、使ってないのかな。もしかして、さっきの水盤はここから汲んだのかと思ったのですけど。
「御土居」の一番上に上がりました。向こう側の家が見えます。けっこう高いでしょ。
石段は向こう側に続いているので降りてみます。
「御土居」の東側にも、祠や鳥居、石碑がいっぱいあります。
こちら側にも、「市五郎大明神」が祀られています。
帰り道ですが、やっぱり伏見稲荷のようですね。
もう一度、礼をして帰ります。
一本南側の通りから御土居を見るとこんな感じです。御土居の断面は石垣で見えませんが、断面の形は台形で、下底が20m、上底が5m、高さが5mぐらいあったそうです。京都を一周する規模だったのですが、どこからそれだけの土を持ってきたのかは不明だそうです。
ここを含めて、9か所の御土居跡が国の史跡に指定されています。
アクセス
- 京都市バス「西大路御池」下車、徒歩3分
- 京都市営地下鉄「西大路御池」下車、徒歩3分