戸無瀬の滝 今はチョロチョロ

平安の和歌にも詠まれた明光風靡な滝

京都の嵯峨嵐山、「大堰川」の右岸(西京区)にある「戸無瀬の滝」です。

平安時代の昔から色々な歌に詠まれている嵐山の名物であった「戸無瀬の滝」ですが、「角倉了以」の「大堰川」開削や近年の治山工事でどんどん小さくなってしまっています。

昨年の春に通ったときには駒札が無かったのですが、初冬の「嵐山花灯路」の時には駒札が有ったので、写真の撮りやすい昼間に見に行きました。

いつもの如くJR嵯峨野線「嵯峨嵐山駅」から南下して、「渡月小橋」を渡って、「大堰川」の右岸を西に向かって遡上していきます。

戸無瀬の滝 No2

「大堰川」右岸から見た、下流方向にある「渡月橋」です。バスが走ってますね。あまりい良い天気ではありません。

戸無瀬の滝 No3

遊覧船の乗船場やボート乗り場を過ぎて、少し歩くとすぐに「戸無瀬の滝」です。

戸無瀬の滝 No4

「戸無瀬の滝」を正面から見ると、上の方から連なっているのがわかります。

戸無瀬の滝 No5

これが昨年新しく立てられた駒札です。それまでは、ここが「戸無瀬の滝」だと知っていて、立ち止まって見ていく人もほとんどありませんでした。

昔の「戸無瀬の滝」は...

戸無瀬の滝 No8

「歌川広重」による「六十余州名勝図会」にある「嵐山 渡月橋」ですが、「戸無瀬の滝」はとても立派に描かれていますね。冒頭にも書きましたが、「戸無瀬の滝」は急流の大きな滝で、その落差から嵐山の名物として親しまれてきました。対岸から見るととてもきれいに見えていたんですね。なので、古来から色々な歌の中に詠まれてきました。この絵のような立派な滝が見られるのならば、「嵐山公園」にももっとたくさんの人が訪れることでしょう。

でも、歌の中の「戸無瀬の滝」の解釈には二通りあって、

[1]文字通り「戸無瀬の滝」を指した
[2]大堰川の急流を「戸無瀬の滝」と詠んだ

という歌があります。

「続千載集」の「藤原定家」の

となせ河玉ちる瀬々の月をみて心ぞ秋にうつりはてぬる

という歌などは[2]のように思えてならないですよ。

「秋篠月清集」の「藤原良経」の

鵜飼舟下す戸無瀬の水馴棹さしも程なく明るよは哉

という歌も[2]じゃないのでしょうか。

そういう「大堰川」の流れも、「角倉了以」による開削で、以前のような急流は姿を消し、普段は穏やかな流れになってしまっています。

戸無瀬の滝 No6

「戸無瀬の滝」の上の方は治山工事で砂防ダムのようになってます。

戸無瀬の滝 No7

昔のような、急流と言われるような立派な流れではなく、チョロチョロと申し訳程度にしか水が流れていません。ちょっと残念ですけど仕方ありませんね。対岸からも植林などであまり見えなくなってきています。

嵐山の景観の良い部分は国有林になっていて植林が進んでいるんですけど、こういう歴史的な滝や嵐山城なんかも、うまく残すような整備事業にしてほしいですね。

アクセス

  • 京都市バス「嵐山公園」下車、徒歩10分

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